最近「自然派ワイン」と言う言葉を見聞きするようになりました。自然派ワイン(仏語:ヴァン・ナチュール)、ビオワイン、有機ワイン、無添加ワインなど色々なワインが出てきましたが、一体どんなワインなのでしょうか?
自然派ワインとはどんなワイン?
明確な定義はないようですが、出来るだけ自然に寄り添って造られたワインのことです。「自然に」と言う言葉が鍵ですね。ワインは農作物であるブドウを使って発酵させたお酒なんだから「自然に」決まっているじゃないか、と思われるかもしれませんが、もともとワインはどのように造られていたのか、そして今どのように造られているのかを考えてみると分かると思います。
ワインはどのように造られていたのか、その歴史
ブドウはもともと発酵に必要な糖分、水分、酵母をもっているので、偶然できたワインを自分たちで意識的に作ろうと様々に工夫を凝らしてきた。
最初は古代オリエント時代にアンフォラと呼ばれる素焼きの壺に潰したブドウを入れて地中に埋めて発酵・保存していた。(オレンジワインの作り方を参照)それがメソポタミアからエジプト、フェニキア、ギリシャ、ローマへと伝わった。
ローマ帝国がヨーロッパへと領土を拡大していくにつれて、ワインづくりがヨーロッパへも伝わり、それがキリスト教徒とも結びついてヨーロッパ中に広がっていった。それと同時にワインを運ぶのに便利なように素焼きの壺から木樽へ、木樽から瓶とコルクへと変化していった。
近代に入り、産業革命が起こると、より大量に安定的にワインを作って世界中に運びたいと考える人が出てきて、そのために様々な工夫がされた。ワイン酵母の使用、亜硫酸塩の添加や澱引き、加熱処理などだ。それが現代にも続いている。
人間がもっと良いものを、もっとたくさん、もっと手軽にと目指した結果、元来のワイン作りから離れてしまった。本来はブドウから造られる農産物だったワインが、工業製品のような造られ方をするのを、基本に立ち戻って作りたいと言う動きが出てきた。それが、自然派ワインの作り手たちだ。
天然酵母での発酵は毎回同じように発酵するわけではなく、常に見守り、状況に応じて手を加える必要があり、とても手間がかかる。とても大量生産には向かない。昔は地産地消と言わなくても、経済社会がそのように動いていた。だから、それで良かった。
しかし、現代のようにグローバル社会になると、いくら「自然に」と言っても、輸送に、そしてある程度の保存に耐えるように最低限の手は加えざるを得ない。その手の加え方が、いろいろあり、自然派ワインを定義できない理由となっている。
自然派ワインとは?
ブドウ栽培とワイン醸造のにおけるこだわりによっていくつかに分けられます。
ブドウ栽培においては、有機栽培で造られたブドウを使って造られるのは、有機ワインと呼ばれる。添加物を加えずに作れば、無添加ワイン。ブドウをビオディナミ農法で作られたブドウを使ったワインもある。
醸造においては、無濾過や亜硫酸塩を添加しないものを無添加ワインとして、差別化しているものもある。;
一般的に、自然派ワインとはオーガニックかビオディナミ(月や天体の運行に合わせて農作業を行う)で造られたブドウを手摘みで収穫し、天然酵母で発酵させ、無濾過で、添加物は入れないか極少量として造られたワインを指します。ヴァン・ナチュールとフランスでは言われている。日本で聞くビオワインは造語、海外では通じないのでご注意。
自然派ワインの特徴というと、繊細で優しい口当たりのものが多いです。また天然酵母を使って造られるので、濁っていたり、おりが溜まっていたりします。少し発砲していたりしますが、それも味わいのうちですよね。