最近テレビでもよく取り上げられている“海底熟成ワイン”。その言葉は聞くけど、どんなものかよくわからない人も多いのではないでしょうか?私もその一人。だから、調べてみました。
“海底熟成ワイン”とはどんなもの?
ズバリ紫外線の届かない海の底に沈めて約半年〜1年間一定の海水温の中で熟成させたワインのことです。海底の微振動により熟成が進み、味がまろやかになるそうです。
1998年第一次世界対戦時にスウェーデン沖に沈んだ船の中から、その船に積み込まれていたシャンパーニュ「エドシック・モノポール」が見つかりました。船が沈んでいた場所は海底64m、太陽の光が届かずシャンパーニュを保存するのに適した水温で、また、「エドシック・モノポール」が長期熟成に耐えうる質の高いシャンパーニュであったことから、80年間海に沈んでいたとは思えないほど完璧な状態で発見されました。
また、2000年にはフィンランド沖の海底からは、「ヴーヴ・クリコ」が見つかりました。こちらは1829年に沈んだ船に積まれていたもので、180年間海底に眠っていたことになります。船が沈んでいた場所は海底55mで光は届かず水温は5℃だったそうです。
どちらもテイスティングして、非常に良い状態だったということで話題になりました。
もともとシャンパーニュが大好きな私としては、どちらも飲んでみたいです。普通に熟成したものとどう違うのか?興味がありますよね。そんなに長い間海の中にあって良い状態で保存されているなんて不思議ですよね。以前ワイン展で海底に沈んでいたワインボトルが展示されていたのを見たことがあります。とても神秘的な感じがしました。
また、漁師さんから海にお酒を沈めておくと美味しくなるという話を聞いて、海底熟成に興味を持つ方もいたようです。それが事業化のきっかけになったようです。海底熟成ワインと聞くと特別な感じがしますよね。
“海底熟成ワイン”を紹介します。
海底熟成ワインも今いろいろなところで作られてます。
①SUBRINA(南伊豆)
沈没船から引き上げられたシャンパーニュが美味しく飲めた、、、などの、海とお酒の熟成の不思議なエピソードを再現しようというVenus Projectを立ち上げ、2年間の実験の結果様々なお酒の中で一番美味しかったのが赤ワインだったとのこと。そこで長期熟成向けの南アフリカのクルート社のシラーズで造られた赤ワインを海底熟成しているそうです。
②VOYAGE(西伊豆)
12月〜5月の間、紫外線の届かない水温15〜19℃、水深15mの海底に沈めて熟成されます。海の中での微振動により通常よりも熟成が進み、まろやかでコクのある味わいになるそうです。フランス・イタリア・チリ産のワインを海底熟成しているそうです、
③深川ワイナリー✖️東京海洋大学(東京湾)
東京の深川は海に近く、またワイナリーの近くに東京海洋大学があることから
海中熟成を科学的に研究し、その成果を生かして地域活性化につなげていければと考えて「江戸前ワイン!海中熟成ワインの味わいの変化を検証プロジェクト」を実施しています。長野県コンコード+山形県マスカットベリーAスパークリング、山形県デラウェア、山梨県マスカットベリーAを海中熟成しているそうです。
④ヴーヴ・クリコ(フィンランド・オーランド諸島)
沈没船から引き上げられたヴーヴ・クリコの品質が良好だったことから、熟成プロセスの理解を深めることを目的に沈没船が発見された場所の近くに海底貯蔵庫を設置し様々な種類のヴーヴ・クリコを40年間にわたって熟成させています。そして、一部を3年ごとに引き上げてテイスティングしてその結果を記録しているそうです。それが「セラー・イン・ザ・シー」と名付けられ2014年から開始しているプロジェクトです。
こんなにたくさんのプロジェクトがあるなんて、今まで知りませんでした。それぞれが海底熟成に神秘性と味のまろやかさを感じて、独自の研究をしているんですね。これからも海底熟成ワインが増えるような気がします。ワインにそんな特別感をもたせたら、きっと誰もが飲んでみたくなりますよね。
“海底熟成ワイン”ではないけれど、、、。
青函トンネルで熟成されたワインをはこだてわいんが作っています。海抜ー283の青函トンネルで熟成されたワインで「−283CAVE年輪」と名付けられたワイン。青函トンネルの先進導坑(パイロットトンネル)内で約1年間熟成されています。トンネル内は気温17℃や湿度70%で安定していてゆっくりと熟成が進むため、まろやかな味わいになるということです。赤と白が造られています。
こちらは海の水にさらされているわけではないけれども、海底トンネルの中という特別な場所で熟成されています。このワインにも惹かれますよね。
海底熟成もトンネル熟成も味がまろやかになるということですが、研究が進んでその理由がわかるといいなと思います。