緊急事態宣言、外出自粛の今だからこそじっくり読みたいワインの本

緊急事態宣言が出され、外出自粛を強く求められていますが、みなさんどの様にお家で過ごしていますか。もちろん私は家飲みの毎日!普段と変わらず(笑)過ごしています。そうは言っても、友達と会ったり、外食したりはできないので、家で過ごすことが多くなりますよね。そんな今だから、ゆったりと本を読んで過ごすのもいいのではないでしょうか。そこで、ワイン好きな方におすすめの本を3冊紹介します。

『The WINE マグナムエディション ワインを極めたい人の至高のマスター&テイスティングバイブル』マデリン・パケット、ジャスティン・ハマック著 日本文芸社 2019.10 ¥2,700+税


この本は前作の『The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド』をさらにパワーアップした内容となっています。前作では「ワインとブドウを知る」という内容が主でした。ブドウの品種ごとにどんな香りがするか、アロマホイールがカラフルなイラストで書かれていて、実際にワインを飲みながら自分が飲んだ感じと比較してみることができました。この本ではそれに加えて、味覚のバランスや産地、品種の希少性や飲むときのヒントなど、この部分だけでもかなり情報量が多くなっています。しかし、それが豊富なイラストや図を用いて表されているので、ひと目でわかります。

品種の次にページが割かれているのは、ブドウの産地についてです。世界中の産地について国ごとに産地の地図と栽培品種、また、特徴的なワインなど、コンパクトにまとまっています。国ごとの特徴が頭に入れば、ワインを選ぶときの参考になりますね。覚えられなくても、カラフルなイラストを見ているだけでも楽しいです。

それ以外にも、実際に飲んで楽しむためのヒントが沢山あります。

この本の前書きに

次のような方にぜひおすすめします。
・ワインの知識を増やしたいが、どこから始めたらいいのかわからない
・ワインの棚を前にするだけで圧倒されてしまい、選ぶことができない
・ワインを買ってがっかりしたり、新しいワインに挑戦することに躊躇した経験がある
・他の人のワインの知識に気おくれしてしまったことがある
・よいワインを飲んでいるのか、単に商売に乗せられて買っているのか自信がない

と、書かれています。

これに当てはまる方はたくさんいるのではないでしょうか。ワイン初心者から少しワインがわかるようになった方まで、自分にあったワインが自信を持って選べるようになりたい方に特におすすめします。ぜひ、この本を片手にテイスティングしてみてくださいね。



『ワイン法』 蛯原健介著 講談社 2019.11 ¥1,600+税


この本はヨーロッパのワイン法、特にフランスのワイン法の歴史を通じてワイン産地を守る動きについて書かれた本です。「ワイン法」って何?思う人もいるかもしれませんが、超高級ワイン「ロマネ・コンティ」と安いワインの違いや、「エチケット」と呼ばれるワインラベルについて気になる方におすすめです。

大昔は誰でもワインを好きに造って売っていたけど、品質のばらつきが大きく、真面目に造っていた人たちが損をする事態も起きたりしていました。そんな生産者を守るために、原産地呼称制度を作り、ワイン産地の品質を高めブランド化する動きが始まり、それが今のワイン法につながっています。

フランスでは、ブドウは産地の土壌の影響を受け、良い土地から良いワインができるというテロワールの考えを推し進めてきました。それにより、他の産地、国との差別化を計ってきたのです。今、日本のワインでも、原産地呼称制度(Geographical Indication)=GIを作り、それを表示するワインを造る動きが山梨県、北海道で始まっています。(日本の原産地呼称制度について詳しく知りたい人はこちらも読んでみてね。)

それに対抗するように、ヨーロッパ以外のワイン産地では、ブドウ品種を前面に出したセパージュという考え方が広まっています。

このように、ワイン法と言っていますが、中身はワインの産地を守るための歴史について書かれているので、興味深いです。法律についての本ですが、堅苦しくなく、優しく読みやすく書かれています。日本のワイン産業もフランスの動きに習っているので、その理解にも役に立ちますよ。時間がある今なら読めると思います。



『土とワイン』 アリス・ファイリング、パスカリーヌ・ルペルティエ著 小口 高、香取みゆき監修 村松静枝訳 エクスナレッジ 2019.12 ¥2,400+税


この本は「テロワール」といわれるブドウ栽培産地の土壌がブドウやワインに与える影響について、世界中のワイン産地の土壌について科学的に分析して、その特徴をまとめた本です。ワインをブドウ栽培の「土」という観点から考えて書かれためずらしい本です。

ただ、写真やイラストが少なく、内容的にもワイン初心者には難しいと思います。ワインをいろいろ飲んでみて、「テロワール」が気になる人におすすめです。外出自粛の今だからこそじっくり読んでみたい本です。