ワイン発祥の地はどこ?ジョージア(グルジア)orアルメニアorアゼルバイジャン?

ワイン発祥の地はどこでしょうか?最近になって発掘調査の結果が次々発表されて、歴史がどんどん変わっています。そして、コーカサス(カフカス)地方と呼ばれる地域にある国、アゼルバイジャン、アルメニア 、ジョージア(グルジア)の3カ国がそれぞれ「ワイン発祥の地である」とアピールしています。

コーカサス地方はどこにあるか?

by Wikipedia

コーカサス地方とは、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス山脈とその周りの低地からなる地域です。コーカサス山脈の南側にある、アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージアという国があります。栽培用ブドウのヴィティス・ヴィニフェラはここコーカサス地方で最初に作られていたことがわかっています。そして、甲州ブドウはこのヴィティス・ヴィニフェラが祖先だと遺伝子解析によってわかったそうです。

ここから、シルクロードを通って、遥か彼方の日本にブドウが伝えられたのです。意外なつながりがあったのですね。そしてなんと世界中のワイン用ブドウの祖先はここコーカサス地方にあるのです。少なくとも、ここがワイン発祥の地に間違いはありませんね。



アゼルバイジャンとワインの歴史

アゼルバイジャンでは、紀元前7000〜6000年前からワインが造られ始めたとされ、クヴェヴリと呼ばれるワイン造りに使われた甕が発見されています。また、世界最古のブドウとされるヴィティス・ヴィニフェラの変種の種が見つかっています。アゼルバイジャンは昔からシルクロードの中継地として栄えていて、ワイン造りも盛んでした。

でも、1980年台の旧ソビエト連邦時代には、ゴルバチョフ書記長による反アルコールキャンペーンによりワイン用ブドウの栽培が停止となり、ワイン産業も低迷しました。独立後少しずつワイン造りも再開され、現在では年間15万トンほどのブドウが栽培されています。

アゼルバイジャンで栽培されているブドウは固有品種のバヤンシラをはじめルカツィテリやサペラヴィ、シャルドネ、メルローなどの欧州品種もあります。



アルメニアとワインの歴史

2011年、アメリカカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームがアルメニア のアレニ村の洞窟で世界最古のワイン醸造所を見つけたと発表しました。洞窟の中には土に埋まったかめ、発酵槽、土器が見つかり、そこでワイン由来の成分も確認されました。放射線による年代分析で紀元前4100年(約6100年前)と判明したのです。その当時は人類が狩猟から農耕に移る時代。それまで世界最古とされてきたエジプトの記録を塗り替えたのがアルメニアだったのです。古からのワイン造りは村の誇りとなり、今では毎年10月に「ワイン祭り」が行われています。

古くから続くアルメニアのワイン造りですが、過去には、ソ連時代にワイン造りが途絶えたことがありました。農産加工品の分業制が進められ、アルメニアはブドウを使った「コニャック製造」に集中させられたのです。そんな時代があったせいか、今では盛んに造っているそうです。しかし、ほとんど輸出されていないようです。残念!

いつかアルメニアのワインを飲んでみたいし、世界最古のワイン醸造所を見に行ってみたいですね。



ジョージアとワインの歴史

ジョージアは北はロシア、南はトルコとアルメニア、東はアゼルバイジャン、西は黒海と接している南コーカサス地方の国で、古くはシルクロードの要所として栄えた国です。以前はグルジアと呼んでいましたが、2015年にジョージアと呼ぶことが日本の法律で定められました。

ジョージアでワイン造りが始まったのは紀元前6000年頃ということがわかっています。また、「wine」の語源がジョージア語「ghvivili(クヴェヴリ)」にあると言われていて、ワイン発祥の地として有力視されています。

ジョージアでの伝統的なワイン造りは「クヴェヴリ」と呼ばれる壺を使い、潰したブドウの全て(果皮、果肉、果硬、種と果汁)を壺の中に入れて、クヴェブリを土の中に埋めて、ゆっくり発酵させます。その後、濾過します。特に白ワインはオレンジ色になり、オレンジワイン と呼ばれ、最近特に人気が出てきました。そして、ジョージアでの伝統的な製法である「クヴェヴリ」によるワイン造りは2013年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。

また、ジョージアにはブドウの土着品種が525種類もあり、ワイン用ブドウのヴィティス・ヴィニフェラの起源もジョージアにあることが分かっています。現在ジョージアで商業用として栽培されているブドウは40〜45種類くらいで、白ブドウでは、「ルカツィテリ」と「ムツヴァネ」、黒ブドウは「サペラヴィ」が有名です。

ジョージアワインは日本にも輸入されているので、飲んだことのある人も多いのではないでしょうか。また、日本のワイナリーでもクヴェヴリという甕を輸入して、オレンジワイン を作っているところもあるようです。それも要注目ですね。

まとめ

今のところジョージアが一番古くからワインを醸造していたということがわかっているようですが、それも新しく遺跡が発掘された結果です。今後も新しい発見があるかもしれません。その結果、一番古くからワイン醸造していた国が入れ替わる可能性もありますね。

どちらにしてもコーカサス地方のどこかは間違いないところです。