神の雫は全44巻あります。その中で偉大なるワイン評論家の神崎豊多香のワインコレクションを継ぐのは、実子の神崎雫か、養子の遠峰一青かを豊多香の出した問題で決めるというストーリー。それは、豊多香のコメントを頼りに十二使徒と名付けられたワインを当てるという難問でした。
第一の使徒(第6巻)ヒントは天・地・人
◯神咲 雫「シャンポール・ミュジニー・レ・ザムルーズ 2001年」
×遠峰一青「シャンポール・ミュジニー・レ・ザムルーズ 1999年」
*シャンポール・ミュジニー・レ・ザムルーズはフランス・ブルゴーニュの1級畑の赤ワイン。女性的なワインと称される。1999年はグレート・ビンテージと言われ天候に恵まれた年でワインの出来が良いと言われているが、天候に恵まれなかった2001年はその分醸造家が工夫して欠点はあっても美味しいワインを造った。十二使徒は完璧さを求めているわけではない。
雫 1勝 : 一青 0勝
第二の使徒(第8巻)ヒントはモナリザ
×神咲 雫「シャトー・パルメ 2000年」
◯遠峰一青「シャトー・パルメ 1999年」
*フランス・ボルドー産の赤ワインでカベルネ・ソーヴィニョンとメルローのブレンドで造られたもの。同じ品質のワインを作るためには、ブドウの比率を変えることもある。
雫 1勝 : 一青 1勝
第三の使徒 (第11巻)ヒントは団欒
◯神咲 雫「シャトー・ヌフ・デュ・パプ キュヴェ・ダ・カポ 2000年」
×遠峰一青「シャトー・ヌフ・デュ・パプ キュヴェ・ダ・カポ 2000年」回答放棄
*フランス・ローヌ産の赤ワインでグレート・ビンテージの年にしか造られないワイン。家族の団欒をそこに見た雫だが、一青は豊多香の真意を知って回答を放棄した。
雫 2勝 : 一青 1勝
第四の使徒(第15巻)ヒントは母親
×神咲 雫「シャトー・ラフルール 1992年」
◯遠峰一青「シャトー・ラフルール 1994年」
*フランス・ボルドー産の主に。カベルネ・フランで造られた赤ワインで、女性的な柔らかい印象のワイン。豊多香の初恋の人が母だと思い、そのイメージでワインを選んでしまった。
雫 2勝 : 一青 2勝
第五の使徒(第18巻)ヒントは試練と達成感
×神咲 雫 「モンラッシュ 2000年」
◯遠峰一青 「シュヴァリエ・モンラッシェ 2000年」
*フランス・ブルゴーニュの白ワイン。二人ともマッターホルンに登頂したが、仲間と共に登ってそこに達成感を感じた雫だが、一青はそこに過去の自分の体験も思い出し、試練をも感じ取った。
雫 2勝 : 一青 3勝
第六の使徒(第20巻)ヒントは本当の優しさ
◯神咲 雫 「バローロ・カンヌビ・ボスキス 2001年」
×遠峰一青 「バローロ・ロッケ・ファレット・レゼルバ 2001年」
*イタリア・ピエモンテのネッビオーロで造られた赤ワイン。一青は弥勒菩薩の高貴なイメージから古典的なワインだと思ってしまったが、雫はそこに優しさをも見た。
雫 3勝 : 一青 3勝
第七の使徒(第23巻)ヒントは仲間
×神咲 雫 「アモン・ラ・シラーズ 2003年」
◯遠峰一青 「ザ・イノーギュラル・イレブン・コンフェッションズ・シラーズ 2003年」
*アメリカ・カリフォルニアのシラーで造られた赤ワイン。雫はガウディの文明に対するアンチテーゼという思いを深く理解できなかった。
雫 3勝 : 一青 4勝
第八の使徒(第27巻)ヒントはマドンナ
◯神咲 雫「ジャック・セロス・キュヴェ・エクスキーズ・セックNV」
×遠峰一青「キュヴェ・エリザベス・サルモン・ブリュット・ロゼ 2000」
*フランスの少し甘口のシャンパーニュ。豊多香にとっての凛とした自立した女性(マドンナ)を探さなくてはならないかったのに、一青は自分にとってのマドンナ(母)のイメージでワインを探してしまった。
雫 4勝 : 一青 4勝
第九の使徒(第30巻)ヒントは生命力
×神咲 雫「ボッジョ・ディ・ソット・ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2005年」
◯遠峰一青「ボッジョ・ディ・ソット・ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2005年」
*イタリア・トスカーナのブルネッロで造られた赤ワイン。ブルゴーニュ にも似たエレガントなワインの女王で4年間も熟成される。同じワインを選んだが、その表現の差で一青の勝ちとなった。
雫 4勝 : 一青 5勝
第十の使徒(第34巻)ヒントは誕生
◯神咲 雫 「グラン・エシェゾー 2002年」
×遠峰一青 「グラン・エシェゾー 2007年」
*フランス・ブルゴーニュ のピノ・ノワールで造られた赤ワイン。深入りしすぎて一青が負けた。
雫 5勝 : 一青 5勝
第十一の使徒(第39巻)ヒントは残照
×神咲 雫「テロワール・アル・リミット 2008年」
◯遠峰一青「フェレール・ボベ・セクレチオ・エスペシャル 2008年」
*スペインのカタルーニャで主にカリニェナ品種で作られたワイン。心象風景の表現力は一青が抜きん出ていた。
雫 5勝 : 一青 6勝
第十二の使徒(第44巻)ヒントは輪廻
◯神咲 雫「シャトー・ディケム 1976年」
×遠峰一青「シャトー・ディケム 1975年」
*フランス・ボルドーの有名な貴腐ワイン。一青の選んだ1975年は完成されていたが、雫が選んだ1976年は未完成であり人生そのものを表していた。
雫 6勝 : 一青 6勝
二人は、神咲豊多香の人生をワインで辿ることになった訳だけれど、本当に美味しいワインはその中に物語を感じさせる不思議な飲みのものなんだなあと感じました。実際に飲んでみて物語を感じたワインからこの漫画を書いた作者も、その努力と想像力が凄いなと思いました。そんな物語を感じさせるワインを飲んでみたいものです。それには、少し背伸びすることも必要かも知れませんね。