日本人初のマスター・オブ・ワインー大橋健一さんはこんな人!

2015年に日本人初の「マスター・オブ・ワイン」が誕生したと紹介された大橋建一さんを知っていますか?ワインに関する記事や本を読んでいると時々出てくる「マスター・オブ・ワイン」という言葉。「マスター」という言葉が付いているのだから、すごい資格なんだろうなと想像していましたが、詳しくは知りませんでした。その資格保持者の一人が大橋建一さんです。どんな人なのでしょうか?そもそも「マスター・オブ・ワイン」って、何なのでしょう?

「マスター・オブ・ワイン」って何?

2020年2月28日現在の「マスター・オブ・ワイン」の資格保持者は30ヶ国396人になるそうですが、日本人は二人だけだそうです。日本在住の大橋健一さんとイギリス在住の田中真衣さんです。

「マスター・オブ・ワイン」とは、イギリスロンドン に拠点を置くマスター・オブ・ワイン協会が認定する、ワイン業界で最も難しく最も名声の高い資格です。戦後にワイン業界の教育目的で始まりました。受験資格はWSET(Wine & Spirits Education Trust )のクラスとしてWSET Level 1~4があり、Level 4を別名WSET Diploma(ディプロマ)と呼び、そのディプロマ以上です。その後、マスター・オブ・ワイン協会の学習プログラムに入学して、講義を受けてステージ2の評価を通れば、実技(ブラインドテイスティング)と筆記試験(理論)を受験できます。それに合格した後、最後の論文が受かると「マスター・オブ・ワインMaster of Wine(MW)」になれるというもの。

「マスター・オブ・ワイン」になるとワイナリー のアドバイザーやIWC(インターナショナルワインチャレンジ)」の審査員などワイン業界の様々なところで活躍しています。それだけ幅広く勉強しているのがわかります。また、質の高い教育を受けたもの同士の信頼もあり、「マスター・オブ・ワイン」同士の横のつながりも強いようです。



「マスター・オブ・ワイン」の資格を取るには?

「マスター・オブ・ワイン」の試験に応募するには、まずワイン教育の最高学府Wine & Spirits Education Trust (WSET)という ロンドンを本拠地として世界中でプログラムを展開する教育機関の学位(4つのレヴェルの最高位)を取得する必要があります。学位は、世界のワイン事情(経済、ワイン法、葡萄育成から醸造など)、スピリッツ(ウィスキー、ウオッカなど)、デザート・ワイン、スパークリング・ワイン、ワイン・ビジネスと醸造学の6科目を数年かけて学び、それぞれの科目の筆記試験(理論)と試飲(ブラインドテイスティング)に合格しなければなりません。更に、「マスター・オブ・ワイン」試験の応募資格には、ワイン業界で活躍する経歴も要求されます。

通常10年から数十年かけてこれらをクリアーした人材が、「マスター・オブ・ワイン」試験の為のプログラムに応募し、毎年一握りの候補者が選ばれます。最初の2年間 に世界各地で行われる「マスター・オブ・ワイン」のレクチャーに出席し、いくつもの理論と試飲の試験をクリアーする必要があります。無事一連の試験に合格すれば、1万語に及ぶ博士論文に取り組みます。論文が受け入れられ、かつワイン業界での業績が認められた一握りの人が、「マスター・オブ・ワイン」と認定されるのです。

ふ〜っ。ここまで読んだだけで、相当難しいと誰もがわかりますよね。10年以上費やしても合格できない人もいるわけですから。最初から挑戦しようと思わない人もいるそうですし。それに挑戦して、本当に合格してしまうんだから、大橋さんは本当にすごい人だと思います。



日本人初のマスター・オブ・ワイン 大橋さんは酒屋さん?!

そんなにすごい資格を取った大橋さんは、栃木県宇都宮市にある酒類専門店の株式会社山仁という会社の社長さんです。大橋さんは1967年栃木県宇都宮市に生まれ、慶應大学を卒業し、1999年には全国ワインアドバイザー選手権で優勝もしています。

大橋さんは「マスター・オブ・ワイン」をはじめ、シニア・ワインアドバイザー、フランスワイン・コンセイエ、清酒専門評価者などすごい資格をいっぱい持っています。その中でも特にすごいのがこの「マスター・オブ・ワインMW(Master of Wine)」という資格です。でも、最初はそれほど興味がなかったと大橋さんは言います。すでにいくつかの資格を取り仕事も順調、ワインについての本も出しているからです。

そんな時に友人からもっと上を目指さないと世界にインパクトは与えられないと言われます。とはいえ、何をしたらいいのか、目標が見つからなかったそうです。そして、たまたまその時に出会ったのが「マスター・オブ・ワイン」になったばかりのサム・ハロップさん。彼の巨視的なものの見方や人としての器の大きさに感動して、同じ様になりたいと「マスター・オブ・ワイン」を目指すことにしたそうです。

元々のめり込む性格を自認する大橋さん。なんといっても「マスター・オブ・ワイン」はワイン界のMBAと言われる難関な資格ですから、それから10年間死に物狂いで勉強したそうです。

仕事熱心・勉強熱心で粘り強い大橋さんが強い意志を持ち続けたことがこの資格取得につながったのだと思います。その結果今では、シャトーメルシャンをはじめ様々なワイナリーでのアドバイザーや講師、またIWC(インターナショナルワインチャレンジ)」での審査員やSAKE部門のコ・チェアマンも努めています。その活躍ぶりにこれからも目が離せませんね。