ブルース・ガットラヴさんが北海道岩見沢で立ち上げた10R(トアール)ワイナリー

10Rワイナリーは北海道岩見沢市にあります。ブルース・ガットラヴさんが立ち上げた受託醸造所です。彼は、栃木県足利市にあるココ・ファーム・ワイナリー の理事もしています。ブルース・ガットラヴさんはどんな人で、10Rワイナリーとはどんなワイナリー なのでしょうか。

ブルース・ガットラヴさんはアメリカ生まれの醸造家

ブルースさんは1961年アメリカのニューヨーク州ロングアイランド生まれで、ニューヨーク州立大学で微生物学を学んだそうです。大学でワイン入門コースを受講して、ワインについて興味を持つようになったそうです。同級生が研究者か大学教授へ進む中、彼はワインの世界が面白そうだと酒屋やワインバーでソムリエとして働き始めました。その後、本格的にワインについて学ぼうと1982年にカリフォルニア大学デイヴィス校の大学院で醸造学科に入学しました。カリフォルニア大学は醸造学では有名ですよね。

その当時のカリフォルニアワインは科学的に考えるのが主流で、一定量のブドウを育てて安定した収益を上げるのが理想とされていました。卒業後、ワインコンサルタント会社に入社して、10数件のワイナリーを担当していました。

彼がソムリエ時代に飲んで感動したフランスワインは武道の良さを活かした伝統的な方法で造られたワインでしたが、カリフォルニアはテクニック重視でした。このやり方では心に残るような最高のワインはできないのではと考えるようになったそうです。



縁あって3ヶ月間日本へ

そんな時に縁あって日本へ行くことになりました。その縁というのは、ブルースさんの同級生のブドウ栽培農家の人が、栃木県にあるココ・ファーム・ワイナリーの人が来てブドウが欲しいと言われて、売ったとのことだった。その日本から来た人というのが、こころみ学園の園長の川田昇さんだった。川田さんからココ・ファーム・ワイナリー のワインの感想を求められて、「悪くはないけれど、もっといいワインができる。」と答えたブルースさんに「ワイン造りの技術者を迎え入れたい。ワインを一緒に仕込んでくれないか。」と収穫期から醸造が落ち着くまでの3ヶ月間指導して欲しいと言われたそうです。

そしてブルースさんは、1989年にコンサルタント会社を休業して日本へ行きました。ブルースさんがまず初めにやったことは、ワイン造りの基礎を徹底することでした。つまり、ブドウは完熟してから摘み取ること、選果、カーヴを清潔に保つことなどです。また、当時の日本のワインは甘口が主流でしたが、ブルースさんが来たことで辛口になりました。そのため、日本人には受け入れられなかったそうです。

そうですよね。その当時は日本のワインより、輸入ワインに注目が集まっていましたよね。赤ワインブームやドンペリブームもありましたね。



日本へ移住する

これではココ・ファーム・ワイナリー の役に立ったとはいえないと感じたブルースさんは、日本へ移住することにしました。それには、川田園長の「障害を持った人たちであっても、本物のワイン造りを目指さなければならない」という考えに共感したからであり、出会う人たちが親切で、安心して住める日本が好きになったからでもあったそうです。また、ワイン作りをしながら、知的障害を持つこころみ学園の子どもたちと働くことが興味深く思い、言葉が通じなくてもコミュニケーションが取れたそうです。

ブルースさんはココ・ファームでのワイン造りで、少しづつブドウの良さを活かす自然な伝統的なワイン造りを試していきました。今でいうビオワインやナチュラルワインです。しかし、ココ・ファームは福祉の役割も持つため、ブドウのビオ栽培には収量面でのリスクもあり、合成農薬不使用に移行することはできなかったそうです。自分の本当にやりたいことが、ココ・ファームではできないと感じたブルースさんは独立を考え始めます。



自分の新しいプロジェクトへ

自分の理想のワイン造りのために世界中で土地探しを始めたブルースさんは、最終的に北海道に決めます。彼は、できるだけ自然なワイン造りを目指し、新しいワイナリーの立ち上げを決めました。その頃には取締役になっていた彼は、ココ・ファームと話し合い、取締役の立場はそのままで、技術指導を続ける形で、独立への道が開けました。そして念願の北海道で始めたのが10Rワイナリーなのです。



10Rワイナリーはカスタムクラッシュワイナリー

10Rはトアールと読みます。様々な人がワインを造る場という意味を込めているそうです。最初は「あるワイナリー」という名前にしようかとブルースさんは考えたそうです。でも、それではつまらないと奥さんの亮子さんが「とある」という意味で「10R」と書いて「トアール」と読むようにしたそうです。私は最初はなんて読むかわかりませんでした。意味を知ってなるほどと思いましたけど。

カスタムクラッシュワイナリーとは、醸造所を持たないぶどう栽培農家に、醸造の場を提供するもので、日本では珍しいですね。ブルースさんはここで、自分の畑や北海道の契約農家のぶどうから造るワインを「上幌ワイン」という名前で販売しています。

「醸造家としては透明人間になりたい。人ではなく、畑の要素が感じられるワインを作りたいんです。・・・従来のワインとは違う価値観で、私なりの美味しさを追い求めていきたい。」

そう語る、ブルースさんが造るワインはどんなワインなのでしょう?



ブルースさんが10Rワイナリーで造っているワイン

「森」・・・ソーヴィニヨン・ブランを中心にピノ・グリ、アリゴテ、シュナン・ブラン、などをアッサンブラージュして造る白ワイン。とろりとして夏蜜柑や白胡椒などの香りがあるワイン。

「風」・・・ピノ・ノワールを中心にピノ・グリ。ガメイなどをアッサンブラージュして造る赤ワイン。バラやシナモン、ストロベリーの香りの優しい酸味のある軽めのワイん。

ピノノワール2017・・・ピノノワール100%で造り、フレンチオーク樽で10ヶ月熟成したもの。

どれもこだわりのワインだけあってお値段も高めですが、ナチュラルワインは手がかかるし、質の安定を保つのも難しいことを考えれば、リーズナブルと言えるのかもしれません。醸造本数も少なめなので、手に入れた人はラッキーかもしれません。私は、白ワイン「森」を飲んでみたいですね。



10Rワイナリーへのアクセス

住所:北海道岩見沢市栗沢町上幌1123番地10
Tel: 0126-33-2770
Fax: 0126-33-2771
Email: info@10rwinery.jp