ワインツーリズム 山梨から山形・岩手・北海道へ  

最近よくワインツーリズムという言葉を聞きます。既にフランスやオーストラリアなどのワイン産地では、ワインツーリズムが行われています。日本でもエコツーリズムやグリーンツーリズムとなど、様々なツーリズムがありますよね。

ワインツーリズムとは?

元々ツーリズム(tourism)とは広い意味で言えば、観光旅行そのもの。狭い意味で言えば、その地域の歴史、文化、風土などを体験すること。ワインツーリズムとは、この場合の狭い意味でのツーリズムにあたり、ワイン産地の自然、歴史、文化などを体験することになります。

世界各地でワインツーリズムが行われていますが、ここではワイン大国フランスを見ていきましょう。

フランスのワインツーリズムは、

第二次世界大戦以降、ボルドー、アルザス、シャンパーニュ、ブルゴーニュ地方などのワインの生産地で、ワインセラーを訪問し、テイスティングを行い、ワインを購入するというのが観光スタイルの1つとして定着してワインツーリズムという名前で広がって来ました。現在はテイスティングしてワインを購入するだけでなく、ワインセラーを訪問しブドウ畑を散策したり、ワインに関するイベントに参加したり、シャトーに宿泊したり、ワインに関するセミナーに参加したり、というワインを生産する地域の自然や文化を丸ごと楽しむというものに変化しています。

最初のうちは、ワイン生産者だけで行っていましたが、食事施設や宿泊施設などの観光業と連携して行った方が、観光客の利便性が高まり観光客の期待に応えることになるのではないかという提案を受けて、2008年5月に農林漁業省により「フランスワイン業界の近代化への5ヶ年計画」に「ブドウ農園の個人事業主および共同組合による直接販売の機会を創出するという視点で、ワインツーリズムを発展させ、地域活動を強化する」ことが盛り込まれました。

ワインツーリズム評議会

2009年3月には、観光省と農林漁業省が、フランスのワインツーリズムを開発・発展させるための団体として「ワインツーリズム評議会」を設立しました。ワインツーリズム評議会は、ワイン生産者と観光業者の橋渡しを担う組織で、ワイン生産者・流通業者の業界団体、宿泊施設の業界団体、観光関係団体で構成されています。事務局はフランス観光開発機構が担い、観光省、農林漁業省、文化省がオブザーバーとして参加しています。主な活動は、国と連携してワインツーリズムに関する検討を行うこと、「ワイン産地と発見」認定制度の運用とワインツーリズム大賞の運営を行うこととなっています。

フランス全土で36ヶ所以上認定されていて、認定された地域では、認定証を掲げることができるそうです。この認定を受けるために地域のワイン生産者、観光関係事業者が連携するきっかけができ、結果として地位全体での経済効果を共通の目標としてお互いに協力するようになってきているそうです。

山梨におけるワインツーリズム

山梨においては、住民が地域の魅力に気付き、住民が主体となって、その地域を盛り上げていかなければならないと考えた笹本貴之さんを中心にメンバー8人が2006年に「ワインツーリズム山梨」という団体を立ち上げたことが、ワインツーリズムの始まりとなります。

ワインツーリズム山梨

2008年には甲州市を舞台としたワインツーリズムを開催し、ブドウとワインだけでなく、その地域の風土、歴史、文化を丸ごと味わう旅をスタートさせました。参加者にはあらかじめワイナリーマップやガイドマップなどの資料を送り、それらを参考にして事前に予定を立ててもらって主体的にワイナリー を巡ることができるようになっています。当日は参加証を首から下げてもらい、その期間だけ走っている周遊バスに自由に乗ることができます。また、いくつかのオプショナルツアーもあり、このツアーには地元のガイドやソムリエなどに協力してもらい、より詳しくワインや地域について学ぶことができるようになっています。また、ワイナリーに併設されているレストランなどで食事とともにワインを楽しむイベントなどもあります。

ワインツーリズムに参加した人は、ワインだけでなく、その地域の自然景観を楽しんだり、スタッフや地元の人のおもてなしを通じて交流し、その地域の印象が良くなったと感じているようです。

ワインツーリズムは、一度だけの観光ではなく、少しだけ面倒なこともしてもらい、地域のことを知って、地域の人とつながりを持ってもらうことで、少しずつ甲州という地域のファンを増やしていく取り組みなのです。こうしたイベントをきっかけに、人と人とがつながり、人手が足りないブドウ栽培の手伝いや収穫のお手伝いなど、観光でも移住でもない動きが目に見えて増えて来ています。こうして地域を持続させていく環境が少しずつですが整いつつあります。

ワインツーリズムやまなしの中心人物でもある「フォーハーツカフェ」のオーナー大木さんの言葉です。地域活性化と言って各地で様々な活動が行われていますが、継続して続いてなおかつ効果が現れているところは少ないですよね。ここ山梨では、着実に成果を挙げていますが、それは地域も巻き込んでやってきたからこそですね。この活動を参考に山形・岩手・北海道などでもワインツーリズムが行われました。これからも楽しみな活動です。

2019年秋のワインツーリズム山梨

現在では、春と秋の2回行われています。2019年秋のワインツーリズム山梨は11月9日(土)〜11日(月)の3日間の予定で行われます。

今の時期の山梨は紅葉も綺麗で、晴れていれば昼間は暖かく、ワインも自然も文化も楽しめます。ワイン好きには満足度の高いイベントです。ぜひ一度参加してみてはいかが?