勝沼のMGVs(マグヴィス)ワイナリーは半導体メーカーが立ち上げたワイナリー

ワイン県を自称する山梨県でも新しいワイナリーが次々にできています。その中でも異色のワイナリーがMGVs(マグヴィス)ワイナリー です。MGVs(マグヴィス)とは、Matsuzaka Green Vinyardsの頭文字を取ったとのことです。Matsuzakaというのは社長さんの名前です。どんなワイナリー でどんなワインを造っているのか、ご紹介しましょう。

2017年4月にオープンしたばかりのMGVs(マグヴィス)ワイナリー

このワイナリーの親会社は株式会社塩山製作所で、勝沼町と一宮町に跨った場所に工場がありました。塩山製作所では、光通信関係の半導体部品を作っています。半導体製造はアジア圏で作られる単価の安いものとの競争に晒されるスパンの短い仕事です。そのために勝沼にあった工場をベトナムに移したそうです。工場には半導体製造に使っていたクリーンルームや窒素充填機などがあり、それがワインを造るのにも使えると考えました。また、ワイン造りは長いスパンでできる事業なので、半導体工場を利用してワインを造ろうと考えたと松坂社長さんは言います。社長の松坂浩志そのさんは元々畑でブドウを栽培していて、20年前位から委託醸造してワインを造っていたそうです。そして10年前くらいにはブドウ畑も継いだそうです。そんなことも背景にあるのかもしれません。



MGVs(マグヴィス)のワインの特徴

実り豊かな土地を未来につなげるために
その土地でしかできないテロワール(土地特有の性格)を生かしたワイン造りを行っています。そのためブドウ品種は日本の固有品種である「甲州」と山梨県で多く栽培されている「マスカット・ベリーA」だけに限定しています。
また、半導体製造で培ってきた品質管理を活かして、徹底した品質管理と衛生管理を行っています。それに加えて、美味しいワインを造るためには、積極的に研究成果や科学技術の力も利用しています。
例えば、甲州ブドウを使ったワインでは香りに特徴があるので、その良さを最大限引出したいと考えました。甲州ブドウのチオール系の香り成分の前駆物質の量は日の出の時間にピークを迎えると山梨大学の研究報告で知り、ブドウを朝6時から収穫しました。そして、香り成分の前駆物質が酸化して減るのを防ぐために、ワイン用果汁を絞る前にブドウを丸1日冷蔵庫で冷さなければならなりません。その間のブドウの鮮度を保持するために、果物のCO2を袋の外に出して酸欠状態を防ぐ三井化学の「アドフレッシュ」というフィルムを使用し、ブドウの劣化を抑えています。
そうしてできたのが、「K231 KITANORO 2018」です。これは「一宮地区にある北野呂の畑からとれたブドウを使って、フリーランプレス混合果汁をステンレスタンクに入れて発酵させたワイン」です。そのワインを試飲した人からはフレッシュさや香味成分が高く評価されたそうです。その香りを実際に確かめてみたいですね。



一番特徴的なのは、そのエチケット(ラベル)です。

K1, B1 とだけ書かれています。
Kは「甲州」、Bは「マスカット・ベリーA」という品種を表しています。
その隣は1〜5の数字がブドウの収穫地を表しています。
1は「勝沼地区」、2は「一宮地区」、3は「穂坂地区」、4は「市町村」、5は「山梨県」となります。
その隣は仕込みや減量処理方法を表しています。
白ワインでは
1=フリーラン(自然に流出する一番果汁)
2=ショートマセレーション(短時間、果皮・種子と一緒に醸してからとる果汁)
3=フリーランプレス混合(自然に流出する一番果汁と加圧圧搾した果汁の混合)
4=プレス果汁(加圧圧搾した果汁)
5=濃縮果汁(絞った果汁から水分のみをとばし糖度を上げた果汁)
赤ワイン・ロゼワインでは
1=ブラッシュ(白ワインのフリーランと同じ仕込みの果汁)
2=セニエロゼ (短期間、果皮・種子と一緒に醸してから抜き取った果汁)
3=かもしロゼ(果皮の色が少し抽出された時に加圧圧搾した果汁)
4=かもし赤(果皮・種子と果汁を一緒にし果皮の色を十分に抽出した果汁)
5=セニエ濃縮かもし(セニエで抜き取り果皮の量が増え凝縮感のある色の濃い果汁)
右端は発酵等の製造方法を表しています。
1=ステンレスタンク発酵
2=ステンレスタンク発酵+シュールリー
3=ステンレスタンク発酵+樽熟成
4=樽発酵+ステンレスタンク貯蔵
5=樽発酵+樽熟成
6=オリジナルブレンド
7=タンク内二次発酵
例えばB521というワインは「山梨県内で採れたマスカット・ベリーAをセニエしてステンレスタンクで発酵させたワイン」となります。とても合理的でわかりやすいですよね。
「B521 2016 ロゼ」はベリーAのイチゴのような甘い香りがしてバニラの風味がありました。「K212 2016」は甘み・酸味ともに強くオリーブとよく合うワインでした。「K336 2016 」は樽香のする果実味のある白ワインでした。



ワイナリー見学などの施設見学情報

営業時間 : 9:30〜16:30

駐車場 : あり

定休日 : (4月~11月)火曜日、(12月~3月)火・水曜日、年末年始、他臨時休業あり



アクセス

住所 : 山梨県甲州市勝沼町等々力601-17
TEL : 0553-44-6030
FAX : 0553-44-6031

【電車】
・JR中央線塩山駅(南口)より約6Km(車で12分)
・JR中央線勝沼駅より約5Km(車で10分)

【車】
・中央自動車道勝沼ICより約3Km(車で6分)