海外でワインを醸造する日本人inフランス

最近日本だけでなく海外でワインを造り、ワインの本場で醸造家として認められている日本人がたくさんいます。また、そのワインが日本に輸入されて、身近なところで見かけるようになりました。今日はその中でワインの本場フランスで活躍する日本人醸造家を紹介します。

ルーデュモン(Maison Lou Dumont)/仲田晃司氏(ブルゴーニュ)


2018年1月8日にNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で放送されたルー・デュモンの仲田晃司さんですが、フランスのブルゴーニュでワインを造っています。「世界で認められた唯一の日本人醸造家」です。「デュモン」はフランス語で「山」という意味です。故郷の岡山県高梁にある備中松山城をイメージしてつけたそうです。

ワイン造りを始めたきっかけは、大学時代のアルバイト先のフレンチレストランでワインと出会い、「いつかワインを造ってみたい!」と思い、1995年単身渡仏し、つてもないのにフランス各地のワイン醸造家を訪ね、醸造の修行を行ったそうです。1999年には、ボーヌの名門ワイン学校CEPPAで醸造を学んだそうです。2000年にはブルゴーニュ に「ルー・デュモン」を設立。2008年にはジュヴレ・シャンベルタン村に自社カーヴを取得しました。

仲田さんは自ら厳選した樹齢30年以上のブドウを使ってワインを造っています。仲田さんは職人気質。細部まで徹底的にこだわって造っています。そのワインは「ブルゴーニュ の神様」と呼ばれた故アンリ・ジャイエ氏も大絶賛したそうです。

さて、そんな仲田さんが造るメゾン・ルー・デュモンのワインは、エチケットに「天・地・人」の文字が入っています。その字を書いたのはスタジオジブリの鈴木敏夫さんです。「天・地・人」は、ワインは天候と土壌と人によって育まれるという理念を表しています。また、そのワインは発酵や濾過などの醸造方法や熟成期間など全てのキュヴェに最も合った方法で造られています。これだけこだわって造っているのに、値段はとてもリーズナブルです。だから人気ですね。日本にもかなり輸入されています。



クロ・レオ(Clos Leo)/篠原麗雄氏(ボルドー)


2000年に渡仏しシャトー・ヴァランドローのテュヌヴァン氏の元で働いていましたが、2002年にわずか0.82haの畑を購入して、ワイン造りを始めました。メルローとカベルネ・フランを栽培しています。ブドウの栽培においては化学肥料は使わず、堆肥を使い、除草剤は使いません。できるだけ畑が良い状態になるように気を付けているそうです。手で収穫し、土壌に合った方法で醸造し、フランス製の樽で16〜19ヶ月熟成させているそうです。

理想は「力強く、繊細なワイン」とのこと。楽しみですね。

ドメーヌ・シモン・ビーズ(Domaine Simon Bize & Fils)/ビーズ千砂さん(ブルゴーニュ )


サヴィニー・レ・ボーヌにある1880年から続く老舗のワイナリー 。1950年に孫の3代目シモンがドメーヌを継ぎ、ブドウ畑を拡張しました。1972年には3代目シモンの息子のパトリックが引き継ぎ、ラトリシエール・シャンベルタンとコルトン・シャルルマーニュの赤白二つのグラン・クリュも手に入れました。1988年パトリック氏はフランス農業銀行で働いていた日本人女性伊藤千砂さんと結婚しました。結婚後、千砂さんは営業と販売を担当していましたが、2013年に夫でドメーヌ当主のパトリック・ビーズ氏を交通事故で亡くし、パトリック氏の妹のマリエル・グリヴォさんと二人でシモン・ビーズの5代目に就任しました。

ワイン造りでは、ビーズ家伝統の茎も種も丸ごと仕込む全房仕込みを守りつつも、新しくビオディナミ農法を採用して、白ワインでは、ブドウの熟度と酸度の完璧なバランスを、赤ワインでは、テロワールを体現した緻密で繊細なワインを造ることを大切にしているそうです。



ラ・グランド・コリーヌ/大岡弘武氏(ローヌ)


ローヌ最大手ギガル社栽培責任者を経て、2003年ローヌ地方の小さな村サン・ペレイに「ラ・グランド・コリーヌ」を設立しました。「グランド・コリーヌ」とは自分の名前からとった名で「大きな丘」=大岡という意味です。

除草剤、化学肥料、酸化防止剤を使用しない「ビオロジック」という農法でワインを造っていて、酵母も野生酵母を使用しています。瓶詰めした後も発酵し続けるため、微発砲のワインができるようです。

「Le Canon Rouge 2016」を飲みました。香りから野生的で、土っぽいスモーキーなキノコの香りがしました。甘味、酸味、苦味と次々感じながら、喉の奥と流れていきます。しかし、飲み口、喉越しはさらりと軽いです。面白いワインでしたよ。

ワインの本場で活躍する日本人がこんなにいるなんて驚きでした。フランスに渡っていろいろなワイナリーで修行をしてから、自分のワイナリーを作っている人が多い印象です。また、世界的にも有名なワイン産地で畑も取得できるということは、ワイン生産者として認められたということですね。素晴らしい!きっと繊細で優しい味なのでしょうね。話題性もあり、プレゼントにもいいかもしれませんね。