ニュージーランドはワインの生産地としては日本と同様に生産量もまだ少ないですが、ブドウ栽培のポテンシャルは高いとそこでのワイン造りに励む日本人醸造家が増えています。その中で早くからワイン造りをしている3つのワイナリーを紹介します。
クスダ・ワインズ(Kusuda Wines)/楠田浩之氏(ニュージーランド)
大好きなブドウ「ピノ・ノワール」の栽培に適した場所として、2001年にニュージーランドに家族で移り住み、ワインを造っている方がいます。ニュージーランドで日本人として初めてワイン造りに挑戦している楠田浩之さんです。
楠田さんは1964年埼玉県で生まれました。大学卒業して、富士通・シドニー総領事館に勤めた後、1997年9月よりドイツにあるカイゼンハイム大学ブドウ栽培・ワイン醸造学部に入学しました。卒業後すぐの2001年5月に、ニュージーランド北島のマーティンボロに移住しました。
彼は「ロマネ・コンティに代表される世界最高の赤ワインを造るブドウ品種ピノ・ノワールで世界トップレベルのワインを造ることが夢」と、ニュージランドのマーティンボロに古いピノ・ノワールが植わった畑を借りてブドウを栽培してワインを造っています。質を求めるため、ワインは少量しかできません。そのためか値段は高めです。しかし、ワインの評価は年々高くなり、ニュージーランドだけでなく世界的にも有名になってきているようです。
コヤマ・ワインズ(Koyama Wines)/小山竜宇(こやまたかひろ)氏(ニュージーランド)
神奈川県横浜市出身の小山さんは、幼少時から中学卒業まで父の仕事の関係で台湾に暮らしました。その後アメリカ・シアトルの大学でビジネスを学び、30歳まで東京のイベント関連の会社に勤めていました。しかし、「ものづくり」に携わりたいと醸造家を目指し、2003年ニュージーランドの国立リンカーン大学に入学し、ブドウ栽培とワイン醸造の修士課程を終了。大学在学中の2004年からピノ・ノワールで有名なワイナリーの「マウントフォード・エステート」へ入社して、アシスタント・ワインメーカーとして働きながら技術を習得しました。そして、理想のワイン造りをするため2009年にニュージーランド南島のワイパラヴァレーにコヤマワインズ(Koyama Wines)を設立しました。
2017年その小山さんが以前勤めていた「マウントフォード・エステート」を取得して、オーナー兼醸造家となりました。元々は有名なワイナリー でしたが、オーナーが変わり、経営難に陥り、衰退していくようになったのです。小山さんは古巣のワイナリー のために何かできないかと考え、自らオーナーになることにしたそうです。
ワイパラ・ヴァレーは樹齢は若いものの高品質のブドウを栽培できる産地として期待される場所で、上品でエレガントなピノ・ノワールと柑橘系の香りと旨味のあふれるリースリングを栽培しています。しかし、醸造の主流は買取のブドウでした。「マウントフォード・エステート」の畑は素晴らしいピノ・ノワールとシャルドネを栽培しているので、最近はそのブドウを使って「コヤマ・ワインズ」のワインを造ったりもしているそうです。このように二つのワイナリー 所有したことで、素材や技術の交流が生まれ、更なる品質向上が期待できるようになりました。「コヤマ・ワインズ」のワインと「マウントフォード・エステート」のワインを飲み比べてみるのも楽しそうですね。
キムラセラーズ(KIMURA CELLARS)/木村滋久(きむらしげひさ)氏(ニュージーランド)
1973年東京生まれの木村滋久さんは東京のキャピトル東急ホテルで和食レストランを担当し、ソムリエ資格も取りました。ワイン好きが高じて、会社を辞めて、2003年ニュージーランドのイースタン・インスティテュート・オブ・テクノロジーでブドウ栽培とワイン醸造について学びました。卒業後「ヴィラマリアエステート(Villa Maria Estate)」などの地元のワイナリーでブドウ栽培や醸造に携わりました。2009年にはマールボロ地区でキムラセラーズ(KIMURA CELLARS)を設立しました。
日本人らしい繊細な感性で、ソーヴィニョン・ブランを中心に高い評価を受けていますが、近年ではピノ・ノワールにも力を入れているようで、これからの進化が期待できそうです。木村さんが造る繊細なピノ・ノワール飲んでみたいな。