KOJ(Koshu of Japan)って、聞いたことありますか? まだまだ日本の、いいえ、山梨県の人にも知られていないかもしれません。KOJは甲州ワイン海外輸出プロジェクトのことで、その活動として毎年イギリス・ロンドンでPRイベントを行なっています。2020年は2月2日〜6日に開催されました。
KOJ ロンドンのサウスフィールドでPRイベントを行いました
山梨県のワイナリー15社と甲府商工会議所などが参加する「山梨ワイン海外輸出プロジェクト(KOJ)」は2月2日〜6日にイギリスロンドンで山梨県産ワインをプロモーションするPRイベントを開催しました。中央葡萄酒やルミエールなど9社から集めた37名柄227本をイギリスに空輸したそうです。その中には甲州ワインだけでなく、メルローやカベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネで造られたワインも含まれていました。PRイベントとしては、現地のワインジャーナリスト、ソムリエ、飲食店や小売店の担当者を招いて行なったテイスティングやインフルエンサーや消費者向けのセミナーやキャンペーンも開催されたようです。
イギリスはEU(欧州連合)から離脱しましたが、ワインの情報発信基地として重要度は変わっていないとして、イギリスをメインにPR活動を行なっています。2012年にはスウェーデンのストックホルムでのプロモーションも行いました。
KOJ(Koshu of Japan)とは
KOJ(Koshu of Japan)は、日本のワイン生産地である山梨県内のワイン生産者15社と甲州市商工会、甲府商工会議所、山梨県ワイン酒造協同組合によって2009年7月8日に設立された団体です。甲州ワインをワインの本場EU市場に輸出することで甲州ワインの世界的な認知とともに産地確立や市場拡大を目指しています。
KOJでは英国在住でワイン業界の世界的権威である「マスター・オブ・ワイン」の資格を持つリーン・シェリフ氏をコンサルタントとして迎え、世界市場におけるプロモーション方法へのアドバイスや技術指導を受けながら活動しています。
そのスタートはワイナリー経営者たちの「日本固有のブドウで造った甲州ワインをヨーロッパへ輸出し、ワインの本場で評価を高めたい」という思いを実現しようと、当時甲州商工会の経営指導員だった大久保親雄さんがJAPANブランド支援事業制度を活用して海外市場開拓に乗り出したことに始まります。
EUでワインを販売する場合は、EUの基準で製造することが必要で、ブドウの糖度、酵母の調査、ボトルや栓、ラベルやロゴなど様々なものを検討し直しました。また、Koshu(甲州ブドウ)が国際ブドウ・ワイン審査機構(OIV)に品種登録され、ボトルに「Koshu(甲州)」と記載できることになりました。そして2013年に国税庁より地理的表示として「山梨」が指定されこちらもボトルに表示できるようになりました。
KOJの活動の結果、ゼロだった甲州ワインの輸出が2010年には1,900本に、2014年はEU向け1万2,700本にと増え続け、世界全体では3万3,500本になりました。
目標を持って官民一体となってみんなでやって来たことが実りつつあって本当に良かったと思います。でも、2009年までワインを輸出したことがなかったのが不思議でした。もちろんEUではワイン法などもあり、単純にすぐ輸出できるわけではなかったのでしょうけど、私には意外でした。もちろんワインはブドウから作られるので、ワイン用ブドウの生産量を増やさなければ、ワインの生産量も増えないですよね。人手も手間もかかります。だから、工業製品のようにすぐに増産というわけにはいきません。そう考えるとまだこれからですが、楽しみでもありますね。夢のある話です!
KOJのメンバーはこんな人たち
2009年発足時のメンバーは、委員長に中央葡萄酒の三澤茂一氏、副委員長に白百合醸造の内田多加夫氏、ルミエールの木田茂樹氏、蒼龍葡萄酒の鈴木卓偉氏でした。専門家としてマスター・オブ・ワインのリーン・シェリフ氏とプロデューサーの小笠原結花氏を招聘しています。
また、その他の委員として
・野沢貞彦氏(山梨醸造)
・久内 一氏(山梨マルスワイナリー)
・荻原保樹氏(大和葡萄酒)
・今井裕久氏(サドヤ)
・前島 純氏(アルプスワイン)
・雨宮吉男氏(ダイヤモンド酒造)
・大村春夫氏(丸藤葡萄酒工業)
・古屋真太郎氏(原茂ワイン)
・平山繁之氏(勝沼醸造)
・芦原 徹氏(まるき葡萄酒)
・大川英一氏(サントリー登美の丘ワイナリー)
がいます。
それ以外にも山梨県、甲州市、笛吹市を初め、山梨県ワインセンターなどが支援・協力をしています。
そして、ワインを輸出しているのが、
・アルガブランカ (勝沼醸造)
・グレイスワイン (中央葡萄酒)
・原茂ワイン
・くらむぼんワイン(山梨醸造)
・ルミエール
・マンズワイン(本坊酒造)
・シャトーメルシャン
・蒼龍葡萄酒
・サントリー登美の丘ワイナリー(サントリー)
の9社です。
これらのワイナリーは生産量だけでなく、品質や味についても世界で戦えると自信を持っておすすめできるところばかりですね。これからもKOJ(Koshu of Japan)の活動に目が離せません。